もりとみずうみ

さみしさのやさしさ、いとしさについて。

いつかのわたしから

去年の手帳を引き出しに仕舞おうとしたら、奥底から何を書いていたのか覚えてないノートが出てきて、めくってみれば3年ほど前の春に綴っていた簡単な日記。

どうやら途中からTwitterに流す方が楽になったようで春以降の書き込みはないけれど、つい読み耽ってしまいました。

 

2019.03.05 *花びらみたいにちいさな手のころから女の子はリボンが好き。上手に結べなくても。

2019.03.06 *紫のすみれは西洋では白昼夢、の意味を持つそう。すみれは今ないけれど、今日は雨なので部屋ではももいろのスイートピーが色濃く匂っている。

*腕の中におさまる身体からミルクのにおいがしていた娘。いまは風にりぼんを描くポニーテールからバニラといちごのシャンプーのにおいがする。

2019.03.08 *色んなものに恋してる。お花に恋してるし、香りに恋してるし、ロマンティックなお洋服に恋してる。琥珀色の壁の純喫茶の珈琲に恋してる。冬はバッハとヘンデル。春はモーツァルトに恋してる。恋をすることは楽しい。

2019.03.22 *ルイボスティーって子供の頃に飲んだ透明なのに甘い水薬の味。

2019.04.05 *照れ笑いと、煙草に火をつけるとき首を斜めに傾げるのがとても好きだった。恋に落ちたばかりのとき。

2019.04.11 *あまりの春の嵐に、嵐が丘を読み耽った。彼らはまだ、ムーアにいる。桜はもう、また来年。

2019.04.20 *ライラックを一枝、買う。さりげなくリラの花とり髪に挿し(星野立子)

 

 

多分いろんなことが起きていた年だけど。エミリ・ディキンソンが言うように思い出はメロディのように永遠にピンク色、なのでした。

明日から日常に戻るのがさみしくて、ちょっと現実逃避。今日この日も、いつか振り返ればきっとピンク色。