もりとみずうみ

さみしさのやさしさ、いとしさについて。

そんなわたしも、あの頃とはちがうわたし。

美しいものがすき、 お人形になりたいと言っていたあなたが

文通の封筒にカファレルのクラシカルなチョコレエイト缶やクリムトのポストカードを 忍ばせてくれていたあなたが

リボンとレースとフリルとドロワーズを愛していたあなたが

こいびとと、カノンくんとかめのちゃんになりたいと言っていたあなたが

美しくもない、ハゲたおじさんとお付き合いして

ヴァンクリのネックレスやモンクレのダウンを身に着けて

レストランやホテルや美容クリニックの写真をあげているSNSをみると

かなしいのか、いとしいのかわからない気持ちになる、金曜日。

 

わたしとは魂の双子ではなくなってしまったけれど、あなたは今日もとってもきれい。

これは、エゴイスティックなわたしが書いた 電子の海に流すための宛名のない手紙です。

 

まだ暗くて寒い冬の朝のキッチンでひとりでスイスミスのココアを飲むのがすき、しずかな孤独を感じるからと話してくれた

三島由紀夫の『女神』を勧めてくれた

あなたが傍にいてくれたら好きになっていたかもなと言ってくれた

あのころのあなたへ。