もりとみずうみ

さみしさのやさしさ、いとしさについて。

あたらしい遊び

去年の夏前から、ひそやかに始めた趣味があります。

それはオイルパステルで絵を描くこと。

 

幼い頃は絵を描くのが大好きだった筈だけれど、成長していくにしたがって『私は絵が下手なのだ』と思い込む様になっていてずっと絵を描くことはしなかった。避けていたというより、思いも至らなかったという方が正しいかも。それくらい、自分には縁遠い存在だった絵を描くという行為。

 

どうしてその思い込みが生まれたのか決定的な出来事はなかったと記憶しているけれど、幼心に投げかけられた大人たちからの些細な言葉がきっと積もっていったのかな。と考えると忘れていた小さな棘のような言葉がふと蘇ったりして。

私はずいぶん、繊細な子供だったようです。

 

そんな私が絵を描こうかなと思ったきっかけになったのは娘。

娘は、紅葉のような手の頃から絵を描いたり工作するのが大好き。

クレヨンや色鉛筆、ときには絵の具やコピックまで使って、ノートに画用紙にカンバスに気ままに描いていく姿が本当に軽やかで楽しそうで、それを見ていた私もなんだかとっても気軽に『私も描こうかな』と思ったのでした。

 

 

今年の描き始めは、祈りを灯して。

どうかすべての人に少しでも早く穏やかでやさしい日々が訪れますように。

 

去年はずいぶん書いて、クリスマスカードにしたり、自家出版本の表紙につかったりしてみました。

長く、言葉や物語を書いてきたから、どうしてもお話を綴るときは趣味とはいえ、ある一定のラインのレベルの読み物にしてから表に出さなきゃ、ううん、出したい。自分の名前で出すことに恥ずかしいと思うものを書きたくないという矜持のようなものが生まれています。

 

けれど絵に関しては素人、下手で当たり前の気軽さがあるので本当に自由に気ままに描くのが新鮮で。

スケッチブックを開いて、思いついたものをさらっと15分くらいで描く。この時間が無心になれて、去年の私のとっておきのストレス解消法だった気がします。

 

 

Xに投稿したらやさしいお友だちや相互さんがとっても褒めてくれて、好きだと言ってくれて。すっかり調子に乗ってしまったので、このあたらしい楽しみはまだしばらくは続けるつもり。

 

バレエにチェロに、お話に絵に。

下手でも趣味でも、楽しんでいいということを知れたのは大人になってしまってからだけど。

そんな楽しみの世界に耽っている時間の豊かさを知った心はいつだって子供時代のように軽やかになれる気がします。