もりとみずうみ

さみしさのやさしさ、いとしさについて。

最近のときめきの欠片たち。

最近我が家にやってきた、嬉しいの欠片の記録。

 

 

ついにお迎えしたチェロのハードケース。チェロを始めて今年で三年目。ずっとソフトケースを使っていました。ソフトケースは軽くて良いのだけど、自立してくれないので置き場所や移動時が少し困る。

楽器だけでなくケースもお値段はピンからキリまであるので、重さや性能にうんと拘らなければそれなりのお値段でそれなりの品を手に入れることができます。

けれど私は自分に対してのプライドが厄介に高いところがあり、まだ、この技術ではハードケースなんぞをお迎えするに値しない…なんて思いながら二年を過ごしていたのです。

技術なんて関係なく、ハードケースのほうが便利でしょ、で割り切れないところが自分の頑固なところだなと思いつつ、三年目にしてやっとそろそろお迎えしても良いだろう…と思う程度には弾けるようになった、というわけ。

 

私の大好きな棗巳波くんもチェロを弾く人で、これを読んだときに絶対にチェロケースを新たに買う!それに値する技術が得られるまでをとりあえずの目標にする!と掲げていたので、ひとつ、目標達成。

楽器ケースへのひそやかな憧れは以前このブログにもつづったけれど(https://jardindelis.hatenablog.com/entry/2023/11/04/002330)、私の小さな箱庭に何を忍ばせるか、考えている時間がとっても楽しい。

まだ楽器しかしまっていないケース。思い通りの箱庭が出来上がったら、ここでもお披露目させてね。

 

ここ数日でお迎えした本たち。

“最近の作家さんでお勧めは?”と聞かれたら必ず川野芽生さんと雛倉さりえさんを挙げるのだけど、この二人はいつも本当に打ちのめされてしまう。言葉ひとつひとつを全部食べたら、なにかうつくしい幻獣になれそうな気がする。そんな作家さん。

川野さんの初エッセイと、好きな人形作家さんの人形をモチーフにした短歌集、大切に読みたいと思います。

 

二枚目は詩集、歌集、随筆集。

詩は元々好きで、自分も書いたりしていました。けれど好きということが恥ずかしいという思いがあってずっと秘めていたり、なにかでその思いが明るみに出たとき過剰に自嘲してみせたり。最近はそんなふうに好きを自分で卑下するのをやめようと決めて、読むことも書いていることも隠していません。詩と短歌は奥深くて、書こうとすればするほど難しい。勉強のために、気になっていた二人の作品集をお迎えしたのでした。

 

最後の一冊は憧れで幻の片山廣子さんの『燈火節』を底本として早川茉莉さんが選んだ随筆集。

熊井明子さんのエッセイで“二月 虹を織る”の一節とともに紹介されていた『燈火節』にずっとずっと夢見ていたので本当に嬉しい!(燈火節は絶版で、古本が出回ってもとてつもない値段がついていたのです)

 

職場のひとにお誕生日プレゼントでハンニバルのレシピブックをいただく!

画集のような大判本、料理の写真もマッツも美しくて痺れています。

私は食べることにあまり関心がなく、料理も好きではないくせに、お話の中のレシピブックというものが本当に好き。先日のブログで触れた魔法使いの約束のレシピブックももちろん買ったし、ルイス・キャロルのアリスの世界のレシピブック、赤毛のアンのレシピブック、メリー・ポピンズのレシピブックなど、ただ眺めて楽しむだけのレシピブックが我が家には沢山あるのです。

自分でも呆れてしまうけど、一度だってそのレシピブックを本当の意味で活用したことはありません…。

 

2月14日バレンタインの記録。

なんだかんだ毎年ショコラの祭典に行っていた私だけれど今年は日程が調節できず、以前から気になっていたお店のチョコレートをオンラインで注文しました。

これは、四大元素をモチーフにしたチョコレート。

火はカーネリアン、水はラピスラズリ、空気(風)はターコイズ、土は翡翠をイメージしてるのだそう。

 

もうひとつ、ラピスラズリのケース入りひと粒チョコレートも。そこはかとなく、マナ石みたい!

魔女のつもりで、ひそやかにいただきました。

 

これは娘がつくってくれた生チョコレート。ほんの少し前までは、一緒に手伝って…と言ってきていたのに気づいたら私の知らないところでお友達とちゃちゃっと作ってきてるのだもの、子供の成長の速度に驚かされてばかり。

甘くてとっても美味しかったです。

 

ところで私は、チョコレートほど、秘密めいているお菓子ってないんじゃないか、と思っているのですがどうでしょう?

宝石みたいな美しいひと粒は手のひらに乗ってしまうサイズ、口に含めばあっという間に溶けてしまって、甘い香りだけが、忘れられない恋みたいにいつまでも残るお菓子。

森茉莉さんが『エロティシズムの中には魔がある』と書いているけれど、チョコレートを食べるとき私はいつもこの一文を思い出してしまいます。

その儚いくせに決して忘れさせない痕跡を残すところにもしかしたらエロティシズムと魔を感じているのかも。

森茉莉さんはチョコレートについても綴っていて『私はだいたいチョコレイトは珈琲、煙草と優に並ぶ、コカイン的な嗜好品、つまり大人の食べものだと、思っている』とのこと。

コカイン的な嗜好品。私はチョコレートの他に、薔薇の花びらやすみれの花びらの砂糖漬け(花を喰むという陶酔)、ボンボン(あの舌触りと、麻薬のように舌を刺すリキュールの香り)を挙げたいです。

どれも一口でほろりと形を無くしてしまうものばかり。そんな脆いものを喰むという行為になにかサディスティックな歓びを感じているのかもしれません。

『好きな菓子はなんだい?』『あたくし?すみれの花びらよ』なんて答える物語の登場人物がいたら、たちまち好きになってしまうでしょう。